「DVは女性が受けるもの」というイメージを持ってませんか?

しかし離婚を経験する中で、男性側にも配偶者からの暴言・暴力・経済的な締め付けに苦しんでいる人はかなり多いです。

私も、相手から「頭がおかしい、普通じゃない、なんでそうなるの?なんでなんでなんでなんでなんで・・・」と毎日圧迫されていました。

ドアを思いっきり閉められたり、時にはモノを投げてきたりと、今覚えば立派なDVだったと思います。この読者の中にも、「わかる〜」という方も多いはず。

「自分が受けているものがDVだと気づいていない」男性、「気づいていても誰にも言えない」男性は、想像以上にいます。この記事では、公的な調査データをもとに、男性側の被害の実態と、声を上げにくい構造について整理します。

この記事でわかること

  • 公的調査における男性のDV被害の実態データ
  • 男性が被害を受けても相談しない・できない傾向とその背景
  • 被害に気づいたときに参照できる相談先の考え方

公的データが示す「男性の被害」の実態

内閣府男女共同参画局が実施している「男女間における暴力に関する調査」(令和5年度)では、配偶者からの暴力被害経験について、以下のような結果が示されています。

  • 結婚したことのある人のうち、配偶者から何らかの暴力を受けた経験がある割合は、女性27.5%、男性22.0%とされています
  • 被害の種類別では、身体的暴行(女性15.0%・男性11.5%)、心理的攻撃(女性19.9%・男性15.5%)、経済的圧迫(女性9.1%・男性6.1%)のいずれも、一般的には女性の割合とそれほど差がないのが実情です。

ここで重要なのは、男性の被害割合も決して小さくないという事実です。

既婚男性のおよそ5人に1人が、配偶者からの暴力を経験したことがあると回答しているという調査結果は、男性の被害が「まれなケース」ではないことを示しています。

※ここで挙げた数値は令和5年度調査に基づく一般的な目安であり、調査年度や調査方法によって数値は変動します。最新の統計は内閣府男女共同参画局のウェブサイトで確認できます。


「相談しない男性」という、もう一つの実態

同じ調査で、被害を受けた人のうち「どこにも相談しなかった」と回答した割合は、女性36.3%に対し、男性は57.2%にのぼるとされています。

つまり、男性の被害割合そのものは女性より低いとされている一方で、被害を受けた男性のうち相談につながる人の割合は女性よりもさらに低い、という構造があります。

「実際に被害を受けている男性の数」と「相談・支援につながっている男性の数」の間には、大きなギャップがあるとみられます。

なぜ男性は相談しにくいのか

一般的には、以下のような要因が指摘されています。

  • 「男が暴力を受けるなんて情けない」という社会的な思い込み
  • 「男性なのだから抵抗できたはずだ」という周囲の見方への懸念
  • 相談窓口が「女性向け」という印象を持たれやすいこと
  • 経済的圧迫や心理的攻撃など、外見からわかりにくい被害は「DV」だと自覚しにくいこと

これらは個人の弱さの問題ではなく、社会的な構造として存在しているものだと捉えることができます。


「これはDVかもしれない」と気づいたら

以下のような経験がある場合、一般的にはDV・ハラスメントに該当しうるものとして扱われることがあります。

  • 継続的な暴言や人格を否定する発言を受けている
  • 生活費を意図的に渡されない、金銭管理を一方的に制限されている
  • 身体的な暴力(物を投げつけられる、叩かれるなど)を受けたことがある
  • 行動や交友関係を過度に監視・制限されている

一つでも当てはまるものがある場合、「これくらいは普通」と自分の中で片付けず、必ず録音、記録を残しておくこと(日時・状況・内容のメモなど)が、後々の相談にかなり役立ちます。


何を考えればいいか

  • 弁護士には相談しましょう。慰謝料の判断材料になるかもしれません。
  • 記録として残しておける事実(日時・内容・状況)の残しましょう。
  • 「相談する」ことと「離婚する・しない」を決めることは別の話だと思って、まずは弁護士等に対応を相談しましょう。

専門家に相談すべきポイント

  • 配偶者暴力相談支援センターや、都道府県・市区町村の相談窓口は、性別を問わず利用できる窓口として整備されています
  • 身体的な危険を感じる場合は、警察への相談も選択肢の一つです
  • 法的な対応(保護命令、離婚に向けた手続きなど)を検討する場合は、弁護士への相談が有効です

相談窓口の具体的な種類や利用方法については、別記事「DV・ハラスメントに関する相談窓口と制度の基本」でも整理していますので、あわせて参考にしてください。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。個別の状況については、必ず弁護士や専門家にご相談ください。