はじめに—「口約束でいい」は後悔の始まり

話し合いで合意ができた。親権も養育費も決まった。じゃあもう大丈ブイッ!

そう思って書類を作らずに離婚した結果でも、後になって「言った、言わない」の問題が起きることがあります。私も、子供の養育費外費用でもめました。

離婚協議書や公正証書は、「互いの合意を確実に残すため」のものです。男性側からすると、なし崩し的な負担を回避する上でもしっかりと対応必要があります。

この記事では、その必要性と、一般的に何を決めるのかについて整理します。


この記事でわかること

  • 離婚協議書と公正証書の違いと役割
  • 一般的に記載される項目
  • なぜ「作っておいた方が良い」とされているのか

離婚協議書とは

当事者間の合意を文書化したもの

離婚協議書は、夫婦が協議(話し合い)によって合意した離婚条件を文書にまとめたものです。法律上、離婚届を出すだけで協議離婚は成立しますが、条件を書面に残しておかなければ、後から「そんな約束はしていない」という争いが起きることがあります。

一般的には、弁護士や行政書士などの専門家に作成を依頼するか、少なくとも専門家に内容を確認してもらうことが推奨されています。

離婚協議書の効力

離婚協議書は当事者間の合意書であり、相手が約束を守らなかった場合に「すぐに強制執行できる」わけではありません。これが、公正証書との大きな違いです。


公正証書とは

法的効力を持つ公式な文書

公正証書は、公証人(国が認めた法律の専門家)が作成する公式な文書です。公証役場で、当事者双方が出向いて作成します。

公正証書の最大のメリットは、「強制執行認諾約款(きょうせいしっこうにんだくやっかん)」という条項を入れることで、相手が約束(特に金銭の支払い)を守らなかった場合に、裁判なしでも強制執行の手続きに進めることができる点です。

ただし、公正証書に強制執行力があるのは主に金銭の支払いに関する項目(養育費など)です。すべての条件について強制執行ができるわけではありません。


一般的に決める項目

1. 親権・監護権

子どもの親権を誰が持つか。親権と監護権を分ける場合もあります(一般的には父が親権・母が監護権、またはその逆)。

2. 養育費

月々いくらを、いつまで(一般的には子どもが18歳または20歳になるまで、など)支払うか。金額の増減条件も定めておくと後のトラブルが減るとされています。

3. 面会交流

非親権者(子どもと離れて暮らす親)がどのくらいの頻度で子どもと会えるか。月に何回・何時間・どのような形で——などを定めます。

4. 財産分与

婚姻中に形成した財産をどう分けるか。不動産、預貯金、保険、車、退職金(見込み)など、対象となる財産を整理して分割方法を決めます。

一般的には、婚姻中に形成した財産は2分の1ずつ分けるのが原則とされていますが、状況によって異なることもあります。

5. 慰謝料

不貞行為(浮気)やDVなど、離婚の原因となる行為があった場合に、精神的苦痛に対する賠償として支払われるものです。金額・支払い方法(一括か分割か)を定めます。

6. 年金分割

婚姻期間中の厚生年金を分割する制度です

7. 清算条項

「以上の内容をもって、双方は一切の債権債務がないことを確認する」という条項です。後から追加の請求をしないための合意です。


なぜ公正証書が推奨されるのか

特に養育費については、一般的には公正証書で残しておくことが強く推奨されています。その理由は、養育費の不払いが社会問題になっているからです。

公正証書があれば、支払いが滞った場合に、相手の給与や銀行口座を差し押さえる手続き(強制執行)が、裁判を経ずに行えるとされています(ただし手続きは必要です)。

逆に、書面がなかったり、公正証書でない協議書しかなかったりすると、支払いが滞ったときに改めて裁判等の手続きが必要になることがあります。


何を考えればいいか——確認リスト

  • [ ] 話し合いで合意した内容を文書にしているか
  • [ ] 文書は公正証書の形で作成されているか(特に養育費)
  • [ ] 養育費の金額・期間・増減条件を明確にしているか
  • [ ] 面会交流の頻度・方法を具体的に決めているか
  • [ ] 財産分与の対象となる財産をすべてリストアップしているか
  • [ ] 清算条項を入れているか

専門家に相談すべきポイント

離婚協議書・公正証書の作成については、以下の専門家が対応しています。

弁護士: 法的な観点から内容を確認・作成できます。特に争いがある場合や複雑な条件がある場合に向いています。

行政書士: 協議が整っている場合の書類作成に対応しています。ただし、法的交渉の代理はできません。

公証人(公証役場): 公正証書の作成は公証役場で行います。事前に内容を整理して持ち込む必要があります。

書類を作成した後でも「この条件は変えられないか」という問いは、専門家に相談する価値があります。一度合意した内容の変更には手続きが必要ですが、状況によっては変更が認められることもあります。


本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。個別の状況については、必ず弁護士や専門家にご相談ください。