「稼いでいる側が損をする仕組みになっている」
-離婚を考えた男性なら、一度はこの言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ネットの掲示板やSNSでは、「高収入だと養育費も慰謝料も財産分与も全部持っていかれる」という声が溢れています。実際、収入が高い側に課される負担が大きくなりやすいのは事実です。
ただ、「絶対的に不利」という断言は、感情的な怒りや恐怖心を煽るものも多く、冷静な判断を妨げることがあります。
私自身も離婚の過程で「損をする側なのか」と怖くなった時期がありました。というより、嫌いになって離婚する相手にお金を渡したくない!とシンプルに思いました。
この記事では、構造を整理しながら、あなた自身が考えるための軸をお伝えしたいと思います。
この記事でわかること
- 収入が高い側に不利が生じやすい「制度的な理由」
- 「絶対的に不利」という言説が単純化しすぎている理由
- 自分のケースで何を確認すべきか、考えるための判断軸
なぜ「稼いでいる方が不利」と言われるのか
養育費:収入が高いほど金額が上がる仕組み
養育費の金額は、一般的に双方の収入を基準にした「算定表」を参考に決められるとされています(裁判所が公表している基準があります)。収入が高い側の取り分が多い分、負担する養育費も高くなります。
たとえば、年収800万円の父親と年収200万円の母親のケースと、双方が400万円のケースでは、同じ子ども一人でも算定される養育費の目安が異なります。「稼いでいるほど多く払う」という構造は確かに存在します。
ただし、これは「子どもの生活水準を離婚前と大きく変えない」という考え方に基づいています。
財産分与:婚姻中に形成した財産を原則半分
財産分与は、婚姻中に夫婦で形成した財産を原則として2分の1ずつ分けるという考え方が基本とされています。収入が高い側が多く貯蓄していた場合、分与する金額も大きくなります。
ここで重要なのは「婚姻中に形成した財産」という点です。結婚前から持っていた資産や、相続で得た財産は、一般的に「特有財産」として分与の対象外とされる場合が多いです。
経営者も、経営に関わっていなければ会社財産は財産分与対象外として扱われることもありますし、常識的に高すぎる財産分与は認められないケースがあります。ですので、相手が強欲ババア〜だとしても、冷静に弁護士に相談しながら進めることで金額を適正にすることができます。
婚姻費用:別居中は収入が高い側が負担しやすい
別居中に生じる「婚姻費用」(配偶者や子どもの生活費)も、収入差が大きいほど支払い義務が生じやすく、金額も高くなる傾向があります。
ここも、かなりムカつく要素なのですが、相手が勝手に子供を連れて家を出て行ったとしても離婚までの婚姻費用を負担しなければならないということがあります。子供を人質のように扱いながら、身勝手に別居されても婚姻費用は払う。その後、離婚したら養育費も払うという点で(DVを受けているなどの事業以外では)男性に不利な制度になっていると感じます。
「絶対的に不利」は本当か——単純化できない理由
有責性によって状況は変わる
「稼いでいる側が不利」という議論では、有責性(誰に離婚の原因があるか)が無視されることがあります。不貞行為やDVなど、法的に認められる有責事由がある場合、慰謝料の支払い義務が生じることがあります。あなたがどういう理由で離婚を検討しているかによって、状況は大きく変わります。あなたはどちらの立場に近いでしょうか?
財産の「種類」と「名義」を正確に把握できているか
財産分与で「全部持っていかれる」と感じる方の多くは、自分名義の資産のみに注目しています。しかし、配偶者名義の資産も同様に財産分与の対象になりえます。一方的に「取られる側」と決めつける前に、相手方の財産の全体像を正確に把握することが重要です。
交渉次第で変わる余地がある
財産分与も養育費も、裁判所の算定表や原則はあくまで「目安」です。協議離婚であれば、双方が合意すれば原則と異なる取り決めをすることも可能です。何が交渉可能かを理解した上で臨む方が、納得感のある着地点に近づけます。
「稼いでいる側」が感じやすい不公平感の正体
私が離婚を経験して気づいたのは、「不公平感」の多くが制度への怒りというより「相手が一方的に搾取しようとしている」という感覚から来ているということです。
長時間働いて収入を上げてきた。その結果として資産が形成された。それが半分になる—この流れを「不公平」と感じるのは、感情として自然なことだと思います。財産分与した後も、養育費を払い続けるのは、こちら側でしたし、向こうが共働きでも何もしなくても口座にお金が入る。そのお金が子供のために使われていなくてもこちらは何も言えないということに憤りを感じました。
ただ、その怒りをそのまま離婚の交渉や手続きに持ち込むと、判断が歪みやすくなります。感情が先に立ちすぎると、本来守るべき子どもとの関係や、将来の生活設計という視点が後回しになってしまいます。
自分のケースを考えるための判断軸
- 婚姻中に形成した財産の全体像を把握しているか?(自分名義・配偶者名義・共有のもの)
- 子どもの養育費は、子どもの生活に必要なコストとして計算できているか?
- 有責事由(不貞行為・DV等)はどちら側にあるか、客観的に整理できているか?
- 感情的な怒りと、実際の経済的影響を分けて考えられているか?
「正解はひとつではない」というのが、離婚手続きの現実だと思います。
ただ、私は男性の立場から、養育費を払い続けることを考えると財産分与分は有利に進めた方が良いと思います。その財産から後々子供にかかる追加費用や、遺産で渡せることなども考慮すると自分に財産があった方がコントロールしやすいからです。まあ、相手も同じようにこちらを信用していないと思うのですが、それであれば自分でコントロールした方がいいですよね?
専門家に相談すべきポイント
- 財産分与の対象・金額の見通し:弁護士や司法書士に財産リストを持参して具体的な試算を依頼する
- 養育費の目安:裁判所の算定表を確認した上で、弁護士にケース別の見通しを聞く
- 婚姻費用の対応:別居中の婚姻費用は早期に取り決めるか、調停を活用する
まとめ
「稼いでいる方が不利」という構造は一定の事実を含んでいるのは、私の経験上、事実だと思います。有責性・財産の構成・交渉の仕方によって大きく変わりますので、構造を理解した上で、専門家と一緒に整理することが最も現実的な対処法です。
専門家への相談を
財産分与・養育費・婚姻費用の具体的な見通しは、個別の状況によって大きく異なります。「自分のケースではどうなるか」を知るためには、法律の専門家への相談が不可欠です。多くの弁護士事務所では初回無料相談を実施しています。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的アドバイスではありません。個別の状況については、必ず弁護士や専門家にご相談ください。
